クラリネット独奏のための作品。「ゆら」は古語で「玉などが触れあって鳴る音(広辞苑)」を意味しますが、同時に「ゆらぎ」「ゆらゆら」などのニュアンスも含めています。
曲自体は三つの部分がそれぞれ五―七―五の小部分から成り立っており、日本語の韻文構造を参照しています。中音域の弱音から「ゆらり」と始まる音楽は、徐々に空間を広げてゆき、激しく揺れ動いたのちに、最高音域と最低音域に収束していきます。一つの音の「ゆらぎ」のような小さな単位のものから、時間軸の「ゆらぎ」のような大きなスパンのものまで感じていただければ幸いです。
(初演時の解説文)