演奏会シリーズ「日本のうたをきく」は、日本語の歌曲作品を広く体系的に捉え、その未来を考えていきたいという思いから始まりました。2023年12月、自らの作曲・編曲による声楽作品を中心にした vol.0 をプレ公演として開き、2024年11月に満を持して vol.1 を迎えます。
奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門で第1位を頂いたことや、能の研究を大学時代より続けていることもあり、日本語をうたうことについて考え続けてきました。西洋音楽の文脈でしばしば指摘される音楽と言語の関係は間違いなく日本の音楽にも存在しており、「日本のうた」について考えることは、自分にとっては音楽そのものを考えることです。純粋な器楽曲を書くときでさえ、日本語のもつ韻律やアクセントについて考察しています。
一概に「日本のうた」といっても実に多様です。クラシック音楽のジャンルとしての「日本歌曲」のみならず、伝統芸能の音楽はもちろん、唱歌、民謡、わらべうた、外国唱歌(蛍の光など)、現代の流行歌なども含めて「日本のうた」と言えるでしょう。あまりに膨大で、この演奏会シリーズをいくら続けても追いきれない世界ですが、自作のみならず、いろんな「うた」を考えるシリーズにしたいと思っています。